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「ペットボトルのフタが開けられなくなった」「タオルを絞るたびにズキッとする」そんな症状で悩んでいる方は、もしかしたら母指CM関節症かもしれません。でも、親指まわりの痛みは同じような場所に出る病気がいくつかあって、自分では判断がつきにくいんですよね。
今日は、親指の痛みを抱えていてどの病気か分からない方に向けて、整体師の立場からわかりやすくお伝えしていきます。


「湿布を貼っても一向によくならない」という方が来院されると、まず確認するのが”どの動作で・どの場所が・どんなふうに痛むか”という点です。親指まわりの痛みはいくつかの疾患が似たような場所に出るため、原因をきちんと見極めることが改善への第一歩になります
親指まわりの痛みを訴えて来院される方は少なくないのですが、話を聞いていくと「実はCM関節症ではなかった」というケースが思っているより多いです。なぜなら、親指の周辺には関節、腱、腱鞘など様々な組織が密集していて、それぞれが痛みの発生源になりうるからです。まずは代表的な疾患を整理してみましょう。
親指まわりの痛みとして多いのは、大きく分けると母指CM関節症、ドケルバン病(腱鞘炎)、関節リウマチ、ばね指の4つです。どれも「親指や手首が痛い」という症状で現れるため、「なんとなく腱鞘炎だと思ってた」という方は非常に多いです。ただ、原因が違えば改善のアプローチも変わりますので、ここはしっかり見分けておきたいところです。
母指CM関節症とは、親指の付け根と手首の間にある「CM関節」の軟骨がすり減って、骨同士がぶつかることで痛みや腫れが生じる状態です。主に40代以降の女性に多くみられ、加齢・ホルモンバランスの変化・手の使いすぎなどが重なることで発症しやすくなります。
痛みが出やすいのは、物をつまむ・ひねる・押さえるといった動作のときです。ペットボトルのフタを開けるとき、ハサミを使うとき、料理でしっかり握り込むとき——こうした「親指に力が入る瞬間」に強い痛みを感じるのが特徴です。進行すると親指の付け根がぽっこり出てくる変形も見られるようになります。
ドケルバン病は、親指を動かすための腱(長母指外転筋と短母指伸筋)が手首のあたりで腱鞘という組織に締め付けられ、炎症を起こす状態です。CM関節症との最大の違いは「痛む場所」と「痛む動作」にあります。
ドケルバン病の場合、痛みが出やすいのは手首の親指側の少し出っ張った骨の周辺です。一方、CM関節症の痛みはもう少し奥、手のひら側の付け根に近い場所に集中します。また、ドケルバン病を見分けるのに使われる検査として「フィンケルシュタインテスト」というものがあります。親指を内側に折り込んで手を握り、手首を小指側に傾けたときに手首の親指側に強い痛みが出ればドケルバン病の可能性が高くなります。CM関節症では、この動きで手首には痛みが出づらく、むしろ親指の付け根の関節部分に痛みが限定されることが多いです。
| 比較ポイント | 母指CM関節症 | ドケルバン病(腱鞘炎) |
|---|---|---|
| 主な痛みの場所 | 親指の付け根の関節部分 | 手首の親指側(橈骨茎状突起周辺) |
| 痛みの性質 | つまむ・ひねる動作で鋭い痛み | 親指を動かす・手首を曲げると痛む |
| 見分けるヒント | 付け根を直接押すと痛い | フィンケルシュタインテストが陽性 |
| 変形の有無 | 進行すると関節が出っ張る | 基本的に変形はない |
| なりやすい人 | 40〜60代女性・更年期以降 | 育児中の女性・手作業の多い人 |
「親指が痛い、もしかしてリウマチ?」と心配される方もいます。関節リウマチは免疫系の異常によって関節が炎症を起こし続ける疾患で、CM関節症とは発症のメカニズムがまったく異なります。リウマチの場合は親指だけでなく、複数の関節が同時に腫れたり痛んだりすることが多く、特に朝起きたときに指がこわばって動かしにくい「朝のこわばり」が30分以上続くのが特徴的なサインです。
また、リウマチは左右対称に症状が出やすいのも大きな特徴です。「右の親指だけが痛い」という場合はリウマチよりもCM関節症やドケルバン病の可能性が高いといえますが、自己判断は禁物です。血液検査でリウマチ因子を調べることで確認できますので、複数の関節に症状がある場合は医療機関を受診することをお勧めします。
ばね指は指の腱鞘炎の一種で、指を曲げ伸ばしするときに「カクッ」「バネが飛ぶような」引っかかりが生じる状態です。CM関節症との違いは比較的はっきりしていて、ばね指は動かすときの「引っかかり感」「弾発感」が主な症状なのに対して、CM関節症では引っかかるというよりも、力が入ったときの鋭い痛みや、関節そのものへの圧痛が目立ちます。また、ばね指は親指だけでなく、人差し指・中指・薬指にも多く見られます。
「まだそんなに痛みは強くないけど気になってる」という方も、早めに状態を把握しておくのがベストです。痛みが出てまだ日が浅い初期段階でも、いくつかのポイントで見当をつけることができます。
まず試してほしいのが、親指の付け根の関節(手のひら側の出っ張りの手前あたり)を反対の指でそっと押してみることです。そこに強い圧痛があればCM関節症のサインである可能性があります。次に、親指と人差し指でOKのサインを作ったとき、親指の付け根の関節がぐらぐらと不安定な感じがするかどうかも確認してみてください。こうした「押すと痛い」「ぐらつく感覚がある」というのはドケルバン病や腱鞘炎とは異なるCM関節特有のサインです。
ただし、これらはあくまで目安です。私の臨床経験では、自己判断でドケルバン病だと思い込んでいたのに実はCM関節症だった、逆もしかり、というケースは珍しくありません。しっかり検査を受けて原因を確認することが、遠回りせずに改善へ向かう一番の近道です。
ここが大事なポイントです。CM関節症と腱鞘炎では、原因も痛みが出る組織も異なりますから、同じ「親指の痛み」でもアプローチが変わります。腱鞘炎に向けたケアをずっと続けていても、CM関節症には効果が出ない——こういったことが実際に起きています。
整体の観点からも、CM関節症は関節の安定性を取り戻すことが大切で、腱鞘炎は腱と腱鞘への負担を減らすことが中心になります。漠然と「手首のストレッチをしよう」「痛み止めを塗ろう」ではなく、何が原因で、どこに問題があるのかを正確に把握してから対処することが根本改善につながります。
次のような状態に心当たりがあれば、一度きちんと診てもらうことをお勧めします。
こうした症状が重なってくると、自己ケアの範囲を超えている可能性があります。「まだ大丈夫かな」と思いながら放置してしまうと、関節の変形が進んでしまったり、慢性的な痛みへと移行してしまったりするリスクが高まります。
当院では「親指が痛い」という症状に対しても、何となく施術をはじめることはしません。まずは丁寧な問診と多角的な検査で、痛みの原因がどこにあるのかをきちんと見極めます。
30年以上の臨床経験の中で感じてきたのは、腱鞘炎もCM関節症も、「なぜその部位に負担がかかっているのか」という根本的な問いに答えないと、同じ症状が何度も繰り返されるということです。手の使い方、姿勢、関節の柔軟性と安定性——こうした全体のバランスを整えることが、再発しない体を作る上で欠かせません。
自分で調べれば調べるほど「どの病気なのかわからなくなってきた」という方もいます。そのまま一人で悩み続けるより、一度専門家に話してみてください。正確な原因がわかれば、やるべきことも自然と見えてきます。どうかひとりで抱え込まずに、いつでも気軽にご相談ください。

