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「スマホを持ち上げた瞬間、親指の付け根にズキッと痛みが走る」——そんな経験、最近増えていませんか?通勤電車のなかでSNSをチェックしたり、仕事の合間にLINEを返したりと、1日中スマホを握っていると、気づいたときには親指の付け根の痛みが出てしまっていた、という方がとても多いです。
最初は「ちょっと使いすぎたかな」くらいに思っていても、放っておくと慢性化してしまうことがあります。今回は、その痛みの正体と、なぜ放置してはいけないのか、そして整体の観点からできることをしっかりお伝えしていきます。


スマホを持つと親指の付け根が痛くなる方、当院にも本当によくいらっしゃいます。「湿布を貼れば治るかな」と様子を見ていたら、ペットボトルのフタすら開けられなくなってしまった方もいました。早めに原因を知ることが、改善への一番の近道です
この痛みにはちゃんとした理由があります。スマホを片手で持つとき、人差し指から小指の4本で本体を支えながら、親指1本でタップやスクロールの操作をしますよね。この動作が繰り返されることで、親指の付け根にある関節や腱に大きな負担がかかり続けるのです。現代のスマホは大型化が進んでいて、重量も増しています。毎日何時間もその重さを片手の親指で支え続けているわけですから、痛みが出てもおかしくはありません。
親指の付け根に痛みが出る場合、大きく分けて2つの疾患が考えられます。どちらも名前は似ていますが、痛みが出る場所や原因のメカニズムが少し異なります。自分の症状がどちらに近いかを知っておくだけでも、対処の方向性が変わってきます。
親指を動かす腱(けん)と、それを包む腱鞘(けんしょう)が炎症を起こした状態です。手首の親指側に痛みが出ることが多く、親指を握り込んで手首を小指側に倒すと鋭い痛みが走ることが特徴です。スマホ操作のほか、赤ちゃんの抱っこや家事の繰り返し動作でも起こりやすく、30〜50代の女性に多く見られます。
親指の付け根にある「CM関節」という関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかることで痛みや腫れが生じる状態です。スマホのピンチ操作(指を広げてズームする動作)や、ペットボトルのフタを回す、瓶のフタを開けるといった動作で強い痛みを感じます。加齢やホルモンバランスの変化が関与することもあり、40代以降の女性に特に多く見られます。
「自分の痛みはどっちなんだろう?」と気になりますよね。簡単なセルフチェックとして、親指を残りの4本の指で包み込むように握り(握りこぶしを作るイメージ)、その状態でゆっくりと手首を小指側に倒してみてください。このとき手首の親指側に鋭い痛みが走る場合はドケルバン病の可能性があります。一方で、親指を広げてつまむ動作や、ものを強くつかむ動作で痛みが強く出る場合は、母指CM関節症が疑われます。ただし、これはあくまで目安です。両方の要素が重なっているケースも少なくないため、正確な診断は専門家に委ねることが重要です。
「そのうち治るだろう」と思って様子を見ている方が多いのですが、実はこれが一番もったいない選択です。痛みをかばいながら使い続けることで炎症は広がり、気づいたときには慢性化してしまっているケースが非常に多いです。日常生活のなかでどんな影響が出てくるか、少し想像してみてください。
朝起きてすぐにスマホを確認しようとしたとき、ズキッと痛みが走る。仕事中にパソコンのマウスを操作するたびに気になる。料理をしていて菜箸を持つのがつらくなる。そして、ペットボトルのキャップが開けられなくなる——。こうした変化は少しずつ進むため、本人が気づきにくいのです。早く対処を始めるほど、回復までの期間も短くなります。これは30年の臨床経験から断言できることです。
特に母指CM関節症は、進行すると親指の関節が変形してしまい、保存療法(手術をしない治療)では対応が難しくなることがあります。そうなると関節固定術や関節形成術といった手術が検討されるケースも出てきます。手術後も完全に機能が回復しないことがある、という現実もあります。「手術は絶対に避けたい」とおっしゃる方こそ、早めに専門家に相談してほしいのです。
「仕事でスマホをやめられない」「育児中でどうしても使わざるを得ない」という方も多いですよね。痛みがある状態でも、使い方を少し変えるだけで負担を大幅に減らすことができます。すぐに始められる工夫をいくつかご紹介します。
これらはあくまで「負担を減らす」ための工夫であり、根本的な治療ではありません。症状が出ている間は、できる範囲で実践しながら、並行して専門的なケアを受けることが理想です。
「まずは自分でなんとかしてみたい」という気持ちはよくわかります。正直に言うと、初期の軽い炎症であれば、セルフケアが助けになることもあります。ただ、セルフケアには大切な前提があります。それは、自分の症状の原因が正しく特定できているかどうか、という点です。
痛みが出始めたばかりで熱感や腫れがある急性期は、冷やして炎症を抑えるのが基本です。保冷剤をタオルに包んで5〜10分程度、患部に当てることで炎症を和らげることができます。一方、慢性的な痛みや、痛みはあるが熱感がない状態では、温めて血流を促すことが有効になります。ただし、温めと冷やしを間違えると炎症が悪化することもあるため、自己判断が難しいと感じたら専門家に確認するのが安全です。
症状が落ち着いてきたら、親指や手首のストレッチが有効です。片方の手で親指をやさしく持ち、小指側にゆっくりと引っ張るように10秒間伸ばす。これを1日3セット程度繰り返すことで、関節周囲の柔軟性を保つことができます。ただし、痛みが強いときや、動かすたびにズキズキする状態のときは、無理にストレッチをしてはいけません。痛みを感じない範囲で、ゆっくり行うことが前提です。
市販の消炎鎮痛湿布や塗り薬は、炎症による痛みを一時的に和らげる効果があります。しかし、湿布で痛みが消えても、それは症状が改善したわけではなく、痛みの感覚が一時的に鈍くなっているだけです。「湿布を貼れば大丈夫」という認識のまま酷使を続けると、気づかないうちに症状が進行してしまいます。あくまでセルフケアは「一時的なサポート」と捉えてください。
当院では、スマホによる親指の付け根の痛みに対して、単に患部だけを見るのではなく、体全体のバランスから原因を探るアプローチをとっています。30年の臨床経験から言えることは、同じ「親指が痛い」という訴えでも、その原因は人によってまったく異なる、ということです。
たとえば、腕や肩の使い方のクセが原因で手首や指に余分な負担がかかっているケース、姿勢や体重心のバランスが崩れていてそれが上肢の筋緊張につながっているケースなど、「患部の外」に本当の原因が隠れていることが多いのです。だからこそ、当院では問診・姿勢分析・重心検査・整形外科的検査など複数の検査を組み合わせて、あなたの痛みの原因を丁寧に特定します。原因がわかれば、それに対してピンポイントにアプローチできますし、「また再発してしまった」という悪循環も断ち切ることができます。
当院の施術は、痛みを取り除くことだけを目的にしていません。なぜその痛みが出たのかという根本の原因を解消し、同じ痛みが繰り返さない状態をつくることを目指しています。スマホを使う生活習慣は変えられなくても、体の使い方や筋肉・関節のバランスを整えることで、負担がかかりにくい状態に変えていくことは十分に可能です。
患者さんからよく聞かれる疑問についても、私の考えを正直にお伝えしておきます。
軽度の場合は、安静と生活習慣の改善で落ち着くこともあります。ただし、「安静にすれば治る」という考えで数週間様子を見ても改善しない場合は、放置によって慢性化している可能性があります。2〜3週間経っても痛みが続くようであれば、専門家への相談をおすすめします。
整形外科では画像検査や薬物療法、装具療法が主な治療手段となります。炎症が強い急性期や、骨の変形が進んでいるケースでは病院での診断・治療が欠かせません。当院のような整体院は、筋肉・筋膜・関節のバランスを整え、日常の動作や姿勢まで含めた根本改善を目指す点で補完的な役割を担っています。状況によって病院と整体院を上手に使い分けることが大切です。
関節の動きを制限して負担を減らす効果はあります。特に仕事中や家事の最中など、どうしても親指を使わなければならない場面では有効な手段です。ただし、サポーターに頼りすぎると、周囲の筋肉が弱くなってしまうこともあるため、長期的な使用には注意が必要です。
私自身、16歳のときに股関節の痛みで整骨院を転々とした経験があります。原因がわからないまま「安静にしてください」「湿布を貼ってください」と言われ続けた時間の、あの虚しさをよく覚えています。だからこそ、今の私は「原因を正しく特定すること」を何より大切にしています。
スマホを持つたびに親指の付け根に走る痛みは、あなたの体が発しているサインです。「たかが指の痛みで…」と遠慮する必要はありません。早めに動くほど、回復への道も短くなります。一人で抱え込まず、いつでも気軽に相談してください。あなたの痛みに向き合うことが、私の仕事です。

